救命処置の手順(心肺蘇生法とAEDの使用の手順2)
   
   
 
   
 気道の確保(頭部後屈あご先挙上法)  
 
 

傷病者の喉の奥を広げて空気を肺に通しやすくします(気道の確保)。

●片手を額に当て、もう一方の手の人差し指と中指の2本をあご先(骨のある硬い部分)に当てて、頭を後ろにのけぞらせ(頭部後屈)、あご先を上げます(あご先挙上)

指で下あごの柔らかい部分を強く圧迫しないようにします。

 
呼吸の確認


傷病者が正常な呼吸(普段どおりの息)をしているかどうかを確認します。

●気道を確保した状態で、自分の頭を傷病者の胸に向けながら、頬を傷病者の口・鼻に近づけます。

●10秒以内で、(1)胸や腹部の上がり下がりを見て、(2)息の音を聞いて、(3)頬で息を感じます。

ポイント

次のいずれかの場合には、「正常な呼吸(普段どおりの息)なし」と判断します。

胸や腹部の動きがなく、呼吸音も聞こえず、吐く息も感じられない場合。

約10秒間確認しても呼吸の状態がよくわからない場合。

しゃくりあげるような、途切れ途切れに起きる呼吸がみられる場合。

心停止が起こった直後には、しゃくりあげるような、途切れ途切れに起きる呼吸がみられることがあります。この呼吸を「死戦期呼吸(あげぎ呼吸)」といいます。「死戦期呼吸(あげぎ呼吸)」は、正常な呼吸(普段どおりの息)ではありません。

 人工呼吸(口対口人工呼吸)

正常な呼吸(普段どおりの息)がなければ、口対口人工呼吸により息を吹き込みます。

●気道を確保したまま、額に当てた手の親指と人差し指で傷病者の鼻をつまみます。

●口を大きくあけて傷病者の口を覆い、空気が漏れないようにして、息を約1秒かけて吹き込みます。傷病者の胸が持ち上がるのを確認します。

●いったん口を離し、同じ要領でもう1回吹き込みます。

ポイント

一回目の吹き込みで胸があがらなかった場合には、もう一度気道確保をやり直し、吹き込みを試みます。うまく胸が上がらない場合でも、吹き込みは2回までとし、すぐに胸骨圧迫に進みます。

簡易型の観戦防護服(一方向弁付きの感染防止用シートあるいは人工呼吸用マスク)を持っていると役立ちます。

傷病者に出血がある場合や、感染防護具をもっていないなどにより口対口人工呼吸がためらわれる場合には、人工呼吸を省略し、すぐに胸骨圧迫に進みます。